うつ病以外のうつ状態
抑うつ状態(うつ状態)とは
抑うつ気分(憂うつである、気分が落ち込んでいる)が強い心の状態をいいます
抑うつ状態(うつ状態)でみられやすい症状
抑うつ気分、悲哀感、不安感、いらいら、不眠、興味関心の低下、意欲低下、自責感、自殺念慮、反応が遅い、倦怠感、疲れやすい、食欲低下、性欲低下などがあります。
うつ病以外でもうつ状態をみとめることはあります。
うつ状態の下位分類と診断
身体的な原因のあるもの
- 中枢神経疾患によるうつ状態=脳器質性うつ病
原因は、脳梗塞、脳腫瘍、脳出血、パーキンソン病、正常圧水頭症、多発性硬化症、アルツハイマー病など - 身体疾患の中枢神経系への侵襲によるうつ状態=症状性うつ病
原因は、甲状腺機能障害、副腎皮質機能障害、電解質異常、膠原病、膵炎、膵癌、インフルエンザなど(参考ですが、急性心筋梗塞後のうつ状態は有名) - 中毒性物質、薬物によるうつ状態=中毒性うつ病
原因は、覚せい剤、ステロイド、インターフェロン、抗パーキンソン剤、H2ブロッカー、抗結核剤、ピル、βブロッカーなどの降圧剤など
身体的な原因からのうつ状態はあまり特徴的ではないです
治療:身体疾患の改善や、原因であることが疑われる薬剤の中止あるいは変更。しかしそれだけでうつ状態の改善を図ろうとせず、抗うつ剤を併用すべきです。
原因不明のうつ状態
- 躁うつ病におけるうつ状態
経過の中に、そう状態の時期をともなううつ状態であり、1型、2型双極性障害と呼ばれ、気分安定剤や抗精神病薬を使って治療します。うつ状態が改善が困難な時、抗うつ剤のSSRIやSNRIなどを投薬することもあります。 - 統合失調症におけるうつ状態
幻覚妄想状態に先行もしくは後発して生じやすいのですが、治療は、抗精神病薬の投薬が中心です。
性格や環境が原因のうつ状態
- 神経症性抑うつ(抑うつ神経症)
- 反応性抑うつ(抑うつ反応)
- 人格障害におけるうつ状態
神経症性抑うつ(抑うつ神経症)
- 不安葛藤をもちやすい神経症的性格の人が問題や悩みをかかえ問題処理できず抑うつ状態におちいるもの。
治療:向精神薬と精神療法。気分転換と考え方の変更、環境調整など。
最近、話題になる「新型うつ病」はこの範疇で考えていいのではないかと考えます。
反応性抑うつ(抑うつ反応)
大きなイベントがあり、そのために抑うつ状態になる。
治療:向精神薬。
精神療法:感情をそのまま表出させる。
いたずらに介入しないで、ひたすら聞き役に回ることは大切です。
人格障害におけるうつ状態
治療:治療はむずかしい。精神療法が中心。
薬物療法については補助程度で、対症療法的な位置づけになります。
本格的なカウンセリングが必要な場合は、そのような施設へ紹介させていただくこともできます。