強迫性障害
強迫性障害とは
自分の意思に反して何か考えやイメージが浮かんできてしまったり、それらから生じる不安、恐怖感や不快感を取り除くためにある行為を繰り返し行わなければならない、ばかばかしい、無意味だとわかってはいるけどやめられない、こだわりの症状です(強迫観念と脅迫行為)。本人自身もそのことで大変深刻な苦痛を経験し悩んでいます。
たとえば、外出時にガスの元栓や戸締りができているか心配で何回も確認する、手を洗っても気になって何回も洗いなおしてしまう、車の運転で人とすれ違った後ひいてしまったのではと降りて確認したり、ごみを捨てても貴重品を捨てたのではゴミ捨て場に戻って確認したり、などの症状はこれにあたります。
宗教的な意味もある場合があります。迷信的な思考、頭に中で考えていることが実際に起こってしまうという思い込み、現実を否定して自分の願望が叶うというような考えに取りつかれるなども強迫的思考といえるでしょう。
患者の訴えは、5つのカテゴリーに分けられるといわれています
- 確認
- 洗浄を伴う儀式
- 強迫行為を伴わない強迫観念に悩む
- 強迫症状のために行動が遅くなること
- これらの混合
原因
堅苦しく、柔軟性に乏しく、几帳面で、我が強く、杓子定規な強迫性性格の基礎に成り立つケースもありますし、身体病、結婚、妊娠、出産、更年期が誘因となって起こる患者さんもいます。
強迫性障害の問題
症状が進んでくると、強いこだわりからおこる行為によりスムーズに作業や行動ができなくなったり、不安や不快感が起こりそうな状況を避けるようになり、生活全般にわたって消極的になっていきます。仕事に行けない、家事ができない、外出が困難になる、など日常生活や社会生活に深刻な影響が出てくるようになります。
早期に適切な治療を受ければ、治る病気ですので、専門医を受診することをお勧めします。
診断
精神病や脳器質性障害でも強迫症状を伴うこともありますのでそれらとの鑑別をしつつ強迫性障害を診断します。
治療
基本は薬物療法と行動療法です。
治療を行う上でなかなか難しい病気ですが、これらの治療で半分以上の人が日常生活を支障なく送れるようなレベルまで回復します。
薬物療法:
フルボキサミンやパロキセチンなどのSSRI(選択的セロトニン再取り込阻害薬)を使うことで強迫性障害の原因であるといわれている脳内セロトニンの代謝異常を調整します。症状に伴う、不安感恐怖感、不快感を軽減するために、一過性にアルプラゾラム、ブロマゼパム、クロナゼパムなどの抗不安薬を投与することもあります。
行動療法:
①暴露療法、エクスポージャー法:今まで嫌で恐れていた状況に直面します。
②反応防害法、行動阻止法:直面した後の不安を抑えるための強迫行為をやらないことにする(我慢することも治療のうちである)やり方です。